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陸水学会に期待すること

2004年 4月
日本陸水学会会長 小倉 紀雄

 このたび、日本陸水学会の会長に就任いたしました小倉です。 本学会は歴代会長のもとで発展して参りましたが、さらなる発展のために努力したいと思います。 会員皆さまのご指導ご鞭撻の程お願い申し上げます。

 私は本学会に大きな期待をもっていますが、とくに以下のような課題の検討とその解決へ向けた具体的な活動が重要と考えています。 会員皆さまの積極的なご意見をいただき、活発な学会へ発展することを期待しています。

1.長期陸水生態系モニタリング体制の整備

 地球温暖化や酸性雨などによる地球環境変動に対する陸水や陸水生態系の応答を把握し、適切に対処するために、これらの長期モニタリングが重要です。 本年5月に韓国釜山において第1回韓日陸水学合同シンポジウムが開催される予定で、その主要テーマの一つに長期生態系研究が取り上げられています。 長期生態系研究(LTER)は国際的にも重要と考えられており、現在27国が参加して国際長期生態系研究(ILTER)のネットワークが構築されています。 わが国は未参加ですが、日本生態学会や日本林学会ではLTERの検討を行っています。 陸水分野では諏訪湖、琵琶湖などの湖沼を中心として長期観測が行われており、他学会と連携しながら陸水分野のLTER体制について検討する必要があります。

 本年4月に、将来計画委員会濱田浩美委員長に陸水分野におけるLTERに関する基本的な考え方の検討を依頼いたしました。 将来計画委員会の検討結果に基づき、わが国でも陸水分野におけるLTER体制が整備・活用されることを期待しています。

2.関連する学会とのパートナーシップの構築

 2002年9月に東京農工大学で開催された日本陸水学会第67回大会のさい、日本水環境学会との合同シンポジウムが開催され、多くの両学会員が参加されました。 今後も関連する学会と合同シンポジウムなどを開催する機会をつくり、また学会のホームページなどを通し、情報交換を行う体制を整備するなど積極的な連携をはかりたいと考えています。

3.市民に開かれた学会へ

 最近の陸水学会大会では市民への公開シンポジウムや市民によるポスター発表が行われています。 得られた調査や研究の成果を市民にわかりやすく公開することは大変重要なことで、陸水学を普及させ、会員の増加にもつながると思います。

 今後の大会においても、市民や子どもたちが関心をもつテーマを設定し、また大会に参加しやすい条件を整え、広く開かれた学会になることを望んでいます。 また会員の皆さまが市民や学校の子どもたちの学習活動に積極的に関与していただくことを期待しています。



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